TeraTermの使い方を一から学ぶ/ログ自動保存/ファイル転送/ポート転送/フォント変更/その他小技など(図解)

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TeraTerm (テラターム) は、Linux サーバや、ルータおよびスイッチなどのネットワーク機器を遠隔操作するための定番ターミナルソフトだ。

ターミナルソフトとは

ターミナルソフトとは、ネットワーク機器などにコマンドを入力し、それの操作結果を画面出力させるためのソフトウェア。CLI(コマンドラインインターフェイス)で操作するソフトウェアである。

Windows のリモートデスクトップは画像などを使ったグラフィカルなインターフェイス(GUI)であるのに対し、ターミナルソフトは文字だけでやりとりをするコマンドラインインターフェイス(CLI)である。

黒い画面に文字だけがズラズラと並んでいる。こう説明すると分かりやすいだろうか。

TeraTerm は、Windows 版しかなく、Mac 版はリリースされていないので注意しよう。

TeraTerm は、インフラエンジニアには欠かせないツールとなっているので、ぜひマスターしておきたい。

私自身、このソフトを長年使い続けており、いろいろと分かってきたのでその利用方法などを図付きで解説します。

ダウンロード方法

TeraTerm はフリーソフトなので 窓の杜 などからダウンロードすることができる。

下図の赤枠で囲んである方が「インストール版」

諸事情で PC にインストール出来ない場合は「ポータブル版」をダウンロードしよう。

ポータブル版では、PC にインストールすることなく、フォルダとして持ち運ぶことができるため、USB メモリなどに入れておくこともできて便利だ。

この記事では「インストール版」について紹介していきます。

[窓の杜からダウンロード] をクリックし、しばらくすると自動的にダウンロードが開始されます。

窓の杜からダウンロード

いつまで経ってもダウンロードが開始されない場合は、「teraterm-4.106.exe」を右クリックし、[名前を付けてリンクを保存] で保存しよう。

Microsoft Edge の右クリックメニュー

インストール方法

ダウンロードが完了したら、インストーラー (teraterm-4.106.exe) を実行してインストールしよう。

▼ 言語を選択し [OK] をクリック

▼ [同意する] を選択し [次へ] をクリック

▼ インストール先の変更がある場合は、[参照] をクリックし、任意の保存場所を選択。

特に変更がない場合は、[次へ] をクリック

▼ 追加するコンポーネント (部品) がない場合は、そのまま [次へ] をクリック

※ 追加コンポーネントを追加しなくても、今まで不便を感じたことはない。

▼ 表示する言語を選択し [次へ] をクリック

▼ Windows の [スタートメニュー] に「Tera Term フォルダ」を作成する

そのまま [次へ] をクリック

▼ 追加タスクの選択では、デフォルトでは以下の2つにチェックが入っています。

・デスクトップに Tera Term のショートカットを作る
・クイック起動に Tera Term のショートカットを作る

特に変更なければ、そのまま [次へ] をクリック

※ 私の場合は両方とも不要なので、下図のようにチェックを外しています。
また、TeraTerm マクロがダブルクリックで実行できるように [.ttl ファイルを ttpmacro.exe に関連付ける] にチェックを入れています。

▼ インストール内容を確認し [インストール] をクリック

▼ 今すぐ TeraTerm を実行したい場合は [今すぐ Tera Term を実行する] にチェックを入れ [完了] をクリックし、今すぐ実行しない場合は、そのまま [完了] をクリック。

ログを自動保存する設定方法

業務でサーバやスイッチへアクセスした際に、後から「コマンド履歴」や「設定した時の操作ログ」が確認できるよう、作業前にログ取得設定をしておくことは必須事項だ。

ただし、毎回手動で設定となると忘れてしまうこともあるので、自動でログ取得するように設定しておこう。

こうすることで、ネットワーク機器などにアクセスしたら、自動でログ取得してくれるようになるぞ。

▼ [設定] メニューから [その他の設定] をクリック

▼ [ログ] タブをクリック

ログファイル名の指定

どのようなファイル名で保存するかを指定しておく必要があります。
ログファイル名のフォーマットを指定しておこう。

以下の表を参考にします。例えばログファイル名に「ホスト名」と「日付」を入れたい場合は、次のようにファイル名を指定します。

指定ログファイル名
&h_%Y%m%d.log

例)実際に作成されるログファイル名
172.22.189.163_20221007.log

ホスト名が取得できない場合は、自動的に IP アドレスに置き換わります。

&hホスト名 (ホスト名が取得できない時はIPアドレスに置き換わる)
&pIPアドレス
%Y西暦 (4桁) 例:2023
%y西暦 (2桁) 例:23
%m
%d
%H時間 (24時間)
%I時間 (12時間)
%p午前 / 午後
%M
%S
ログファイル名フォーマット

指定ログファイル名
&h_%Y%m%d_%H%M-%S.log
(ホスト名_年月日_時分-秒.log)

例)実際に作成されるログファイル名
172.22.189.163_20221007_0022-49.log

ホスト名が取得できない場合は、自動的に IP アドレスに置き換わります。

指定するファイル拡張子に特に決まりはありません。
後から見て分かりやすいように「.log」が良いでしょう。

ログ保存先の指定

ログファイルの保存先を指定します。

ここでは、Cドライブ直下に「log」というフォルダを事前に作成しておき、そこをログファイルの保存場所として指定しています。

[自動的にログ採取を開始する] にチェックを入れます。

▼ [OK] をクリック

ログ自動取得設定が完了したら、TeraTermの設定を保存しよう。
設定を保存しておかないと次回 TeraTerm 起動時に設定が元に戻っているので注意が必要だ。

設定の保存

▼ [設定] メニュー → [設定の保存]

▼ 保存先は、デフォルトで TeraTerm プログラムのフォルダになっているはずなので、そのまま [保存] をクリック。

もし、保存先が TeraTerm プログラムのフォルダになっていなければ、以下のフォルダを選択して上書き保存しよう

C:\Program Files (x86)\teraterm

▼ 設定ファイルを上書きするか確認されるので [はい] をクリック

ログのダイアログを表示させない設定

ログ自動取得設定をすると、サーバやスイッチにログインした時点で TeraTerm の”ログのダイアログ”が、TeraTerm のウィンドウとは別でタスクバーに表示される。

まるで1つのアプリかのように表示されるので、不要な場合は非表示にすることが可能だ。

▼ ログのダイアログ

TeraTerm ログのダイアログ
タスクバー

ログダイアログの非表示設定

TERATERM.INI」(設定ファイル) を直接開き、”LogHideDialog“を以下のように書き換えて上書き保存する。

LogHideDialog=off

LogHideDialog=on

TeraTerm 設定ファイルは、TeraTerm インストール先を変更していなければ、以下のフォルダに存在する。

フォルダ: “C:\Program Files (x86)\teraterm
設定ファイル: TERATERM.INI

ファイルのアップロードとダウンロード

「WinSCP」などのフリーソフトでもファイルのアップロード・ダウンロードは可能だが、TeraTerm においてもその機能がある。

その方法は以下。

「ファイル」→「SSH SCP

ファイルのアップロード

サーバーへファイルをアップロードしたい場合は、下記画像の上側を利用する。

From アップロードするファイルを指定
To アップロード先ディレクトリを指定

Send」をクリックしたら送信開始だ。

サーバーにログインしたユーザーがアップロード先ディレクトリに対しアクセス権がない場合は、そのディレクトリにファイルをアップロードすることができません。

こういった場合は、いったん /home/ ディレクトリや、/tmp/ ディレクトリなどにアップロードしよう。

ファイルのダウンロード

サーバーからファイルをダウンロードしたい場合は、下記画像の下側を利用する。

From ダウンロードしたいファイルのファイルパスを指定
To 保存先フォルダを指定

Receive」をクリックしたら受信開始だ。

サーバーにログインしたユーザーがダウンロード元ディレクトリに対しアクセス権がない場合は、そのディレクトリからファイルをダウンロードすることができません。

こいういった場合は、いったん /home/ ディレクトリや、/tmp/ ディレクトリなどにファイルをコピーしよう。

ポート転送

TeraTerm の「SSH転送」を利用することで、ポート転送ができるようになります。

TeraTerm で直接接続している Linux サーバーから、さらに別のサーバーや、Web コンソールにアクセスするといったことが可能になります。

TeraTerm → Linux サーバー A (踏み台) → (Linux サーバー A 経由で) Windows サーバー

具体的には、次のようなことができるようになります。

  • 踏み台サーバー経由で、Windows サーバーリモートデスクトップ接続をする。
  • 踏み台サーバー経由で、VMware 管理コンソール (Web 管理画面)HTTP アクセスをする。

踏み台サーバーとは、一番最初にアクセスするサーバーのことです。

SSH 転送を使う理由としては、以下のようなものがあります。

踏み台サーバーへのアクセス許可はあるが、それ以外のサーバー(への直接的なアクセス許可がないサーバー) へアクセスしたい場合。

SSH 転送の利用方法は以下。

リモートデスクトップの場合

まずは、踏み台となる Linux サーバーに SSH で接続する。

▼ 「設定」→「SSH転送」

▼「追加」ボタンをクリック

▼ たとえば、以下のように値を指定する。

  • リモート側ホスト: 接続したい Windows サーバーの IP アドレス
  • ポート: 3389
  • ローカルのポート: 13389

なお、ローカルポートは、Well-Known ポート等と被らなければ何でもよい。

ただし、65535 番以下である必要がある。

▼ 自 PC で、「リモートデスクトップ接続」を起動する。
以下の値を入力し、「接続」をクリック。

127.0.0.1:13389

当たり前ですが、そもそも踏み台サーバーからアクセスできないサーバーにはアクセスすることはできません。

管理コンソール(Web 管理画面)の場合

まずは、踏み台となる Linux サーバーに SSH で接続する。

▼ 「設定」→「SSH転送」

▼「追加」ボタンをクリック

▼ 以下のように入力する

  • リモート側ホスト: 接続したい 管理コンソール(Web)の IP アドレス
  • ポート: 80
  • ローカルのポート: 10080

なお、ローカルポートは、Well-Known ポート等と被らなければ何でもよい。

ただし、65535 番以下である必要がある。

▼ ブラウザのアドレスバーに、以下のように入力しアクセスする。

http://127.0.0.1:10080

そもそも踏み台サーバーからアクセスできないサーバーにはアクセスすることはできません。

フォント変更

TeraTerm インストール直後のフォントは、下図のように「Terminal」というフォントに設定されている。

▼ 「Terminal」フォント表示例

おすすめのフォントは、プログラミング用フォントの「Ricty Diminished」(リクティ・ディミニッシュト) だ。

プログラミング用フォント Ricty Diminished

Ricty Diminished (リクティ・ディミニッシュト) は Ricty の姉妹フォントであり、Inconsolata と Migu 1M ではなく、Inconsolata と Circle M+ 1m を Ricty 生成スクリプトで合成したフォントです。 IPA ゴシックのグリフを含まないため、使用可能な漢字グリフの数が少ない代わり、SIL Open Font License の下で配布が可能です。

特徴

ラテン文字には Raph Levien 氏の Inconsolata が適用されます。
それ以外の文字には Circle M+ 1m が適用されます。美しい M+ と itouhiro 氏が改良された視認性の高い日本語文字 (半濁音など) が使用できます。
半角文字と全角文字の横幅の比が 1:2 に調整されています。
全角スペースが可視化されます。
いくつかの全角グリフが対応する半角グリフと差別化されています。
en ダッシュ、em ダッシュが破断線のようになります (LaTeX での入力ミス防止のため)。

https://github.com/edihbrandon/RictyDiminished

「Ricty Diminished」は、Windows OS に初期インストールされていないため、以下のサイトからダウンロードしてインストールしよう。フォントのインストールは簡単だ。

GitHub - edihbrandon/RictyDiminished: Ricty Diminished --- fonts for programming
Ricty Diminished --- fonts for programming. Contribute to edihbrandon/RictyDiminished development by creating an account...

▼ 「RictyDiminished-Regular.ttf」をクリック

フォントを選択

▼ [Download] をクリック

Download

▼ ダウンロードしたファイルをダブルクリックして、[インストール] すればフォントのインストールは完了だ。

フォントのインストール

フォントをインストールしたにも関わらず、TeraTerm のフォント設定の一覧に「Ricty Diminished」が出てこない場合は、TeraTerm を一度再起動しよう。

最後に、TeraTerm の設定ファイルを上書き保存すると、次回 TeraTerm 起動時にも「Ricty Diminished」が設定されている状態になるぞ。

設定の保存

文字の「見やすさ」「美しさ」が変わるので、TeraTerm をよく利用する人にフォント変更はお勧めだ。

コピー・貼り付け・範囲選択方法

コピー

TeraTerm でのコピーは、デフォルト設定では文字列をマウスで範囲選択した時点で既にコピーされている

あえて、キーボードでコピー操作をするとしたら、[Alt] + [C] キーでコピー可能だ。
(※ 設定を変更すれば、[Ctrl] + [C] キーでもコピー可能)

貼り付け

TeraTerm の画面上で、[マウス右クリック] か [Alt] + [V] キーで貼り付けが可能だ。

1単語を選択状態かつコピー

ダブルクリックすることで、1単語を選択状態にし、それと同時にコピーすることができる(選択状態で既にコピーされている)

1行を選択状態かつコピー

マウスで3回連続クリック(トリプルクリック)することで、1行を選択状態し、それと同時にコピーすることができる(選択状態で既にコピーされている)

最速で「show run」を取得する方法

操作手順

① 以下のコマンドで、show run 実行時に表示される –More– を出さないように設定しておく

ter len 0 は、terminal length 0 の略コマンドだ。
再び –More– を表示するよう戻すには、ter def len コマンドを実行するとよい。
ちなみに、ter def len は、terminal default length の略コマンドだ。

② 以下のキーボードショットカットキーを順に入力し、画面(バッファ含む)をクリアする

Alt + EB

ここで言うバッファとは、現在の画面上に表示されているログだけでなく、マウスの上スクロールなどで表示される過去ログも含めた、蓄積されている全てのログのこと

③ 画面(バッファ含む)クリアされている状態で、Enter キーまたは Ctrl + C を押下

Enter キーまたは Ctrl + C を押すとプロンプトが返ってくる

show run コマンドを実行する

⑤ 以下のキーボードショットカットキーを順に入力し、show run 結果を全選択状態にする(=コピー)

Alt + EA

バッファのクリアをしてから show run を実行しているので、show run の結果のみが選択されます。

⑥ show run 結果がクリップボードにコピーされているので、メモ帳などに貼り付ける。

手順まとめ

  1. ter len 0–More– を表示させない(※必須ではない)
  2. Alt + EB で画面(バッファ含む)クリア
  3. Enter または Ctrl + C でプロンプトが返ってくる
  4. show run を実行
  5. Alt + EA で show run 結果を全選択(コピー)する
  6. メモ帳などに貼り付ける

ログインパスワードを貼り付ける方法

ログインパスワードを貼り付けようと Ctrl + V をしても、貼り付けはできません。

TeraTerm でログインパスワードを貼り付ける場合は、 Shift + Insert キーで貼り付け可能です。

ログを保存する方法

色んな設定作業を行った後、ログをファイルに保存する場面が多々あると思います。

その際のログ保存方法を2つ紹介します。

メニューから保存する

一番シンプルな保存方法です。

「ファイル」 → 「ログ」

ショートカットキーを利用する場合
Alt + FF

「保存先」を指定し、「現在バッファを含む」にチェックを入れ → 「OK」をクリック。

ログをコピーし、メモ帳に貼り付け

「編集」 → 「全て選択」

ショートカットキーを利用する場合
Alt + EA

背景色が白色反転(全選択)されている状態になります。

この状態で、同時にコピーもされている状態になります。

メモ帳アプリなどを開いて、Ctrl + V などで貼り付けて保存します。